親のかかわりが大きく、「親子の受験」ともいわれる中学受験では、夫婦で意見が対立する例が少なくありません。中学受験(中受)と離婚をテーマにした「中受離婚 夫婦を襲う中学受験クライシス」(集英社)を書いた教育ジャーナリストのおおたとしまささんに、中学受験にまつわる家族関係の悩みについて聞きました。
――「中受離婚」をテーマにしたきっかけは。
中学受験に取り組む家庭では、夫婦間の葛藤を抱えるケースが多いと、ずっと感じてきました。子どもや親子という切り口ではなく、夫婦にとっての中学受験を描いてみたらどうなるだろう――。当事者を取材するなかで、「離婚」がひとつのキーワードとして見えてきました。取材結果をまとめ、「セミフィクション」として書きましたが、全て実際の話です。
ただ、離婚をことさらセンセーショナルに伝えたいわけではありません。本に登場する3家庭も、それぞれの状況や結論は違いますが、離婚を負の側面だけで捉えていない点は共通しています。子どもが第1志望校に合格したものの離婚を選んだ夫婦の「その後」も紹介しましたが、後悔はしていませんでした。
家族は「離れる」ことより「我慢して一緒にいる」ことのほうがつらいはず。伝えたかったのは、中学受験をきっかけに、もともとあった夫婦の課題が顕在化したとき、それにどう向き合うかです。この「中学受験クライシス」を、広く知ってほしいと思いました。
記事後半では「中学受験をめぐって夫婦の『すれ違い』が生まれやすいポイント」5点を挙げていただきました。
すれ違いが顕在化 背景に中学受験特有の理由
――本では、志望校に合格した例を取り上げていますが、不合格のケースでは問題がより深刻になる気がします。
合格できなかった家庭では…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル