東京都と神奈川県で1日、私立中学の入試が始まった。教育関係者によると、首都圏の受験者数は5年ほど前から増加し、今年は小学6年の5人に1人に当たる6万5千人以上(推定)が受験。早稲田や慶応など難関・上位大の付属中だけでなく、日本や東洋など中堅大付属中の人気も高まっているという。混乱が続く大学入試改革への不安から、子供を付属中に入れたいと思う保護者が増え、中学でも“安全志向”が強まっているようだ。
「中学受験では私大の付属校が人気だが、(難関大や上位大の)早慶やMARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)の付属中人気は頭打ち。その分、今年は受験生が中堅大に流入する動きがある」
森上教育研究所(東京)の森上展安所長は、今年の傾向をそう説明する。
“安全志向”の背景にあるのは、大学受験の動向だ。平成28年度以降、都市部の難関・上位大が募集定員を絞った影響で大学受験が難化。このため、大学入試をせずに進学できる付属中に人気が集まった。しかし、上位中の倍率が年々上がり、それを敬遠した受験生が中堅大の付属中に流入しているという。
混乱が続く大学入試改革の影響も大きい。入試が変わることを不安に感じた保護者らが、何とか大学の付属中に子供を入れようと、準備を始めるケースが目立つようだ。
特に都心部にある日大や東洋大、東海大などの付属校は進学校としても人気を集める。「上位大の付属校と異なり、さらに上のランクの他大に進む人が多い」と森上所長は話す。
私立中側の入試方式の多様化も、受験者増に拍車をかけている。
首都圏模試センター教育研究所の北一成所長によると、暗記するような知識がなくとも、思考力や記述力などがあれば、その場で対応できるような「適性検査」と呼ばれる出題方式を導入する学校が急増。一般方式とは別に適性検査型の入試を実施する私立中は、今年では約半数に達しているという。
「従来の試験方式より準備期間が短くても合格できる可能性がある。そのため、小6になって受験を決心するケースも増えた」
例年、強固な受験者層を持つトップクラスの中学で導入するケースは少ないが、来年からは国立の名門、お茶の水女子大付属中も導入を決定。そのほか、名門校も受験科目に英語を含めたり、1教科受験を導入したりしており、多様化の動きは拡大するとみられる。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース