性暴力をなくし、性犯罪の実態に合った刑法改正を訴える「フラワーデモ」が全国に広がり、山梨県内でも昨年12月から今年3月までJR甲府駅前で開かれた。花を手にし、「#MeToo」「#WithYou」のプラカードを持つ人たちが思いを語った。
フラワーデモのきっかけは、昨年3月、性犯罪をめぐる全国の裁判で無罪判決が相次いだことだ。
「山梨を空白地にしてはいけない」
昨秋、山梨県立大名誉教授で助産師の伏見正江さんは、性被害当事者が生きやすい社会の実現をめざす「Spring」代表理事の山本潤さんの講演を聴き、当事者でもある山本さんの言葉に心動かされた。性被害の支援活動をする人たちと、SNSでデモへの参加を呼びかけ始めた。
助産師として、性暴力による妊娠やDVなどに悩む女性たちを目の当たりにしてきた。
3月8日、最後のフラワーデモで「性被害の歴史にピリオドを打ちましょう」と声を上げた。性に関する問題を語り合う「ジェンダートーク」はこれからも続けていく。
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JR甲府駅前のフラワーデモで、マイクを手に、自らの体験を話す50代の女性に出会った。
父から性的虐待を受けてきた。記憶があるのは7歳のころから。父が布団に入り、下着に手を入れてきた。何をされているのかは理解できない。身を守ろうと首元まである服を着て、ベルトで締めて寝たが、無理やりベルトを外された。
同じ部屋で寝る母や2人の弟に心配をかけてはいけないと、助けを求められなかった。父が母に暴力をふるう姿を見てきた。恐怖感も強かった。
10歳のとき、父の浮気が原因で両親は離婚した。「幼い弟たちを守らなければ」という使命感から、手に職のある父についていく選択しかなかった。
「これで父を殺せるかも」。浴…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル