アフガニスタンで人道支援に取り組んだ中村哲医師(享年73)が昨年12月に銃撃され死亡してから、6月4日で半年。中村さんを支えてきた福岡市のNGO「ペシャワール会」(福岡市)や現地でともに働いてきた人たちは「事業は全て継続し、希望は全て引き継ぐ」を合言葉に、手探りで活動を前に進めている。
「いまどちらですか?」
「農場から事務所に戻る途中です」
3日午後、ペシャワール会事務局が国際電話をかけていた。アフガンのNGO「平和医療団・日本」(PMS)との定時連絡。PMSは中村さんに率いられ、アフガン東部で医療、用水路の建設や維持管理、農業を担ってきた。
現地ではいま、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、農業や用水路での作業が午前8時から午後1時までに限られている。都市部への道路は通行が一時規制され、資機材や燃料の搬入に影響が出た。規制は5月後半に解かれたが、人の移動に伴う感染の広がりが心配される。
そうした中でも、PMSは約230ヘクタールの農場で小麦や豆、野菜、果物を育てている。かんきつ類約3万本は無農薬。当初は枝が伸びっぱなしだった。昨年から養蜂に乗りだし、かんきつ類の花からは良質な蜂蜜が期待できることから、中村さんが現地スタッフとともに昨年9月、福岡県農林業総合試験場で剪定(せんてい)についてアドバイスを受けた。「これでかんきつ類も蜂蜜も質が上がれば」と、中村さんは成果を楽しみにしていた。
「100の診療所より、1本の用水路を」と唱えた中村さん。これまでに27キロの用水路が開通し、砂漠化した1万6500ヘクタールに緑を回復させ、農民65万人の暮らしを支える。
中村さん亡き後も新しい用水路…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル