中洲に戻らぬ“社用族” 名店や老舗も閉店…常連は「行けなくてごめん」(西日本新聞)

 歓楽街・中洲(福岡市博多区)の目抜き通りの交差点。その片隅で、ダークスーツに身を包んだ白髪の男性が行き交う人々をじっと見つめる。60代。高級クラブの幹部従業員。30代前半から店の“黒服”として働く。 【写真】開店したスナックで客と談笑する秋月みなみさん  店の仕事がないときはこの場に立ち、一度でも来店した企業人を見つければ深々とお辞儀する。20年以上続ける仕事の流儀だ。  交差点の風景は新型コロナウイルスによって一変。緊急事態宣言が出されると人通りは消えた。6月から中洲の多くの飲食店が再開。一部で感染者が発生した危機は乗り越え、政府の観光支援事業「Go To トラベル」で持ち直した感はある。それでも人出はコロナ前の半分以下だと感じる。   その中で目につくのは若い世代。男性の店を利用するような、接待や会合で歓楽街を訪れる背広姿の“社用族”が少ない。「コロナ前は20人以上にあいさつした。でも、今は1人いるかどうか…」   地場経済界の重鎮とも交流し、接客業のイロハを学んできたと自負する男性は中洲の現状に危機感を抱く。「このままだと社交場文化が廃れてしまう…」

「ここに残る」新規開店も

 男性はバー店員だった30年近く前、知り合った大企業の幹部に「良い仕事がある」と誘われ、高級クラブで働きだした。  そこは女性たちが潤滑油となり、多様な企業の幹部らが交流する場所だった。会合や接待で築いた人脈は新たなビジネスにつながる。「企業と店で中洲の社交場文化をつくってきた」と男性は言う。しかし今、店に企業人たちの姿は少ない。  中洲では、営業再開後の7月中旬にキャバクラ店で新型コロナのクラスター(感染者集団)が発生。その数は1カ月で計8件に及んだ。ただ9月以降、福岡市内で新たな感染が330人(10月15日現在)確認されたのに対し、中洲関連は2~3人。クラスターはない。市の感染症対策担当は「それぞれの飲食店が対策に努めた成果だ」と評価する。  それでも、男性の店に来ていた企業人の戻りは悪い。ある言葉の印象が影響しているようにも思える。

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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