電力やガスの供給をめぐり、大手電力・ガス会社がカルテルを結んでいた疑いがある問題で、公正取引委員会は5日午前、中部電力と販売子会社の中部電力ミライズ、東邦ガス(いずれも名古屋市)に対し、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで立ち入り検査を始めた。3社は別の容疑で立ち入り検査を受けていたが、新たに受注調整の疑いが浮上した模様だ。
関係者によると、3社は事業者向けの高圧、特別高圧の電力や、大口需要家向けのガスの供給をめぐり、受注調整をしていた疑いが持たれている。2016~17年ごろから始まったとみられるという。
3社は、中部エリアでの家庭向けの低圧電力や都市ガスの供給で、価格を維持するカルテルを結んでいる疑いがあるとして、4月に公取委の立ち入り検査を受けていた。公取委の調査の過程で、新たな容疑が浮上したものとみられる。
3社はいずれも立ち入り検査を認め、「全面的に協力する」などとコメントを出した。
公取委はこのほか、関電、中国電、中部電などが、お互いに顧客獲得を制限するカルテルを結んでいる疑いがあるとして、4月に立ち入り検査を実施。7月には九州電力と子会社にも同様の疑いがあるとして立ち入り検査に入った。
電力やガスの小売りは競争を促す狙いで自由化されてきたが、自由化に逆行するカルテルや受注調整が大手電力・ガス会社間で行われ、競争が制限されている可能性がある。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル