中電社員の自殺、労災と認める判決 上司のパワハラ発言「人格否定」

高橋俊成

 中部電力の男性社員が13年前に自殺したのは、過重な業務や上司によるパワハラに起因する労災に当たるかどうかが争われた訴訟の控訴審判決が25日、名古屋高裁であった。長谷川恭弘裁判長は労災と認めなかった一審・名古屋地裁判決を取り消し、遺族補償金の不支給決定も取り消した。

 原告は、中電三重支店に勤務していた2010年10月に亡くなった鈴木陽介さん(当時26)の母親(61)。労災と認めず遺族補償一時金を不支給とした津労働基準監督署の決定を不服として提訴していた。

 この日の判決は上司から鈴木さんへの「お前なんか要らん」「そんなんもできひんのに大卒なんか」といった発言について、「指導の範囲を逸脱し、人格を否定するもの」と認定。その上で鈴木さんは「新入社員には難易度の高い業務」も複数担っており、強い心理的負荷を受けて精神障害を発症して自殺したと結論付けた。

 母親は判決後の会見で涙ぐみながら「陽介に何があったか知りたくて、今日まで頑張ってきた。今日の判決は本当に良かった。陽介はずっと一緒に闘ってくれていた」と話した。中電は「そういった判決が出ていることは報道等で承知しているが、本社としては当該訴訟の当事者ではないのでコメントは差し控えます」とした。(高橋俊成)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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