聞き手・岸善樹
脱毛する人が男性にも増えているそうです。ツルツル、スベスベの肌をなぜ女性も男性もめざすのか。男性の身体表象を研究する川野佐江子・大阪樟蔭女子大学教授(56)は、ダビデ像のような「裸でも見られて恥ずかしくない」身体が求められていると言います。
――脱毛する男性が多い理由は何なのでしょうか。
「清潔感を重要視する美意識が、女性だけでなく男性にも広がった結果だと思います。毛は不思議な存在で、体から離れた途端に『きたない』ものになります。料理に毛が落ちていたら、だれでも気になる。自らの管理下にない毛は、不潔なのです。手入れされていない体毛も『むだ毛』とさげすまれる。きちんと管理されていないからです。動物行動学者のデズモンド・モリスは、人間を『裸のサル』だと指摘しましたが、自然のままの毛は野生を連想させ、清潔とは思われません」
――でも、体毛が「男らしい」と肯定的に評価されたこともあります。
「確かに以前はプロ野球巨人の長嶋茂雄さんや歌手の加山雄三さんの胸毛が格好いいと思われていましたし、歌手の西城秀樹さんの体毛がヒット曲の『ギャランドゥ』という隠語で呼ばれるようになっても、マイナスのイメージではありませんでした。一方、1980年代に登場したジャニーズ系のアイドルは、ツルンツルンの肌ばかりです。そのあたりの時代で、体毛への意識が変わっていったように思います」
――なぜでしょう。
「現代は『より元気で、より…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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