さいたま市立南浦和中学1年の男子生徒が2018年に自殺した問題で、第三者委員会の報告書が23日、公表された。顧問の生徒に対する指導は不適切とは言えないとする一方、「決定的な要因とは言えないまでも自殺に傾倒する大きな契機となった」とし、部活をめぐるやりとりが自殺に一定の影響を与えたことを認めた。
生徒は18年8月26日、バドミントン部の練習に出かけると言って家を出た後、自殺した。直後に学校側は両親の同意を取りつけた上で、外部には「不慮の事故」と説明した。これを前提に学校は生徒らに聞き取り調査をし、いじめを受けたり友人とトラブルになったりした様子はみられないと判断した。
しかし遺族は調査結果に納得せず、「顧問の行き過ぎた指導が原因ではないか」などと訴え、部活動でどんなことがあったかを明らかにするため外部の専門家による調査を要求。19年7月に第三者委が立ち上がった。
報告書では、顧問による強い言葉による指導や、夏休みの練習で顧問がこの生徒ら3人をステージに上げて素振りの練習をさせるなどしたことを認めたが、指導が不適切であったとは言えないとした。ただ、こうした指導で生徒が「部活動不適応」に陥ったとした。
自殺前日には、この生徒が部活を休んで遊んでいたとの報告を受けた顧問が、生徒宅に電話して事実確認をしていた。部活動不適応だったのに、この電話をしたことについては、「決定的な要因とは言えないまでも自殺に傾倒する大きな契機となった」と判断した。
報告書はA4判115ページ。大学教授ら5人が22年7月までの3年間で計74回の調査会を開き、作成した。報告書を昨年に公開する動きがあったが、黒塗りの部分が多すぎると遺族側から指摘があり、その後も検討を重ねていた。(大西英正)
生徒の母親「納得できない」
生徒の母親(49)も報道陣の取材に応じ、第三者委の結論について「顧問の電話が自殺の要因の一つと認めながら、因果関係がないとの結論は納得できない」と不満をあらわにした。
市教委の細田真由美教育長が…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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