島脇健史
2022年2月に大阪府門真市の市立中学校3年の男子生徒(当時15)が自殺した問題で、市教育委員会が19日、記者会見を開いた。母親が2月に会見し、複数の同級生によるいじめと自殺の因果関係や、学校の対応の問題を指摘する第三者委員会の調査報告書を公表していた。
市教委もこの日、第三者委から昨年12月に答申を受けていた「いじめ重大事態調査報告書」を公表。母親の会見時は内容についてコメントを出さなかったが、久木元秀平教育長が「尊い命が失われたことは痛恨の極み。指摘を真摯(しんし)に受け止める。市教委も学校への指導が不十分だった」と謝罪した。
報告書によると、男子生徒は1年生の時、同学年のSNSのグループに「雨の匂い臭ない?笑」と書いたところ、「お前の方が臭い」と書き込まれ、「死ね」と連呼する動画を作成・拡散された。3年生になると、匿名で質問を投稿できて数日で消えるアプリで「Sine」「Uzai」などと投稿された。ほかのSNSでも「誰にも見守られず死んで下さい!」などと送られた。
いじめに関わった同級生らは20人に上った。男子生徒は1~3年時の学校のいじめに関するアンケートに「ラインなどで、いやな事を言われる時がある」などと、いじめをうかがわせる回答を度々していた。
第三者委は、SNSでの中傷など計62件のいじめを認定し、「いじめと自死は密接に関連があると考えられる」とした。さらに被害の訴えがあり、いじめ防止対策推進法があるにもかかわらず、学校側はいじめと認知せず、組織的な対応もしなかったと指摘した。
鈴木貴雄教育部長は「1年生の時に学校側がいじめと認知していれば、専門家の力も借りて違う手が打てたのではないか」と話した。
市教委は再発防止策として、市立小・中学校の児童生徒、保護者、教職員を対象に、専門業者を招いてSNSトラブルに関する講義を始めた。4月からは各中学校区に1人ずつ、教員らからの相談を受けるスクールソーシャルワーカーを配置。毎年度当初に全教職員対象のいじめ対応の研修を行うという。
母親は同級生らと市に対し、損害賠償を求めて提訴する意向を示している。(島脇健史)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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