愛知、岐阜両県でうなぎ店を展開する「うなぎ家」(本社・愛知県尾張旭市)が、女性職人の育成に力を入れている。子育てが一段落した主婦層にターゲットを絞り、串打ちから焼きの技術までを3カ月で伝授するプログラムを導入。4月には岐阜県各務原市の店舗で女性店長が初めて誕生した。
各務原市のうなぎ料理店「阡家(せんや)」の調理場。愛知県一宮市の玉腰万寿己さん(50)が黙々とウナギと向き合っていた。「『焼きは一生』と言われるように試行錯誤を続けています。家事の経験も生かすことができ、毎日が充実している」と話す。
午前8時に家を出て、9時ごろ店に到着し、串打ちなどの仕込み。午前11時に開店すると、ランチタイムは休む間もなくウナギを焼き続ける。夜の部は午後5時に始まり、閉店は午後8時半。1日平均で12キロほどのウナギを一人で焼くという。
先輩職人の技を盗むのではなく…育成プログラムを確立
玉腰さんは今年1月に入社したばかりだ。子どもが高校生になったのを機に再就職を決意し、正社員の女性店長を募集していた求人案内に目が留まった。
パートとして、飲食店での接客や物流会社で庶務などの仕事をしてきたが、飲食店での調理経験はなかった。「最初は戸惑いもあった。身と皮がはがれないように串を打つのは職人技で苦労した」と玉腰さん。それでも3カ月での研修を経て、店長に就いた。
「うなぎ家」では、協力会社の職人に講師を依頼。串打ちから焼きの技術を一から教え、反復練習を重ね、短期間で技術を習得させる育成プログラムを確立した。先輩職人の技術をまねて盗むのではなく、わかりやすく技術を継承する狙いがあるという。
子育てしながら兼業で経理・労務・総務…いまは社長
女性職人の育成に乗り出したのは、昨年秋に「うなぎ家」の社長に就任した松井智子さん(45)。うなぎ職人は男性社会のイメージが強い。その上、高齢化と後継者不足は深刻だった。
そこで「働きたい」と思って…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Leave a Comment