大型で猛烈な強さの台風14号が九州に近づき、気象庁は「最大級の警戒」を呼びかけている。鉄道の運休や商業施設の休業も相次ぎ、各地で厳戒態勢がとられている。
福岡管区気象台は17日午前に記者会見を開き、吉田力主任予報官が「ここ数年にない勢力で、動きも遅い。普段の生活をすることもかなり危険な状況が見込まれる」と強調し、警戒の必要性を訴えた。
台風14号はゆっくりと進むのが特徴で、長時間の雨による被害への警戒が必要だ。「経験したことのない暴風」も予想されており、吹き始める前に頑丈な建物の中に移動することや、屋内では窓から離れるよう呼びかけている。
九州南部を中心に、避難の呼びかけも進められている。鹿児島県内では、鹿児島市が市内全域の33万7747人、南九州市も3万3413人に避難指示を出した。ほかにも鹿屋市や枕崎市、霧島市などで避難指示が出されている。鹿児島県によると17日午後7時過ぎ時点で、県内で約1500人が避難している。
宮崎県内でも、宮崎市で市内全域の39万9588人、都城市も15万8941人に避難指示が出ており、今後も広がる見通しだ。
鉄道の運休も相次ぐ。九州新幹線の熊本―鹿児島中央間は18日の始発から、博多―熊本間は正午ごろから終日運転を見合わせる。山陽新幹線も広島―博多間で、19日の始発から運休する可能性があるという。
在来線も18日以降、鹿児島線や佐世保線などで運転を見合わせ、とくに19日は九州の鉄道はほぼ全面的にストップする見通しだ。JR九州は19日、すべての路線で始発から運休。福岡市営地下鉄も全線(空港線、箱崎線、七隈線)で19日の運休を決定し、西鉄も19日は全線で運休するという。
航空路線では17日、日本航空が110便、全日空は14便を欠航したほか、18日は日本航空が298便、全日空が206便を欠航するという。
台風に備え、多くの商業施設も休業する。コンビニエンスストアのセブン―イレブンは九州、中国エリアにある約3300店舗のうち、約610店舗を計画休業する予定。ファミリーマートも17日夜以降、福岡県の約30店舗で計画休業するという。福岡市の福岡三越や熊本市の鶴屋百貨店、鹿児島市の山形屋など、各地のデパートも18日の臨時休業を決めている。
博多三大祭りの一つ、筥崎宮(はこざきぐう)(福岡市東区)の「放生会(ほうじょうや)」も、17日午後2時以降は舞台イベントをすべて中止し、名物の露店も18日は全店が閉店する。
福岡県筑後市も18日に予定していた「ちっご恋のくに花火大会2022」を延期した。順延日としていた19日の開催も見送り、新たな開催日は今後、検討する。福岡県八女市も17日の開催予定だった「茶のくに花火大会2022」を中止した。順延日としていた19日と20日への延期もしない。
熊本県水俣市など3市町で17日と18日に開催予定だった熊本県民体育祭も中止。17~19日に予定されていた鹿児島県民体育大会も中止になった。
山口市で17~19日に開催予定だった大規模な野外音楽イベント「WILD BUNCH FEST.2022」も18日以降の公演が中止となった。
台風接近を受け、九州・山口など各地のダムでは事前放流を実施。九州地方整備局は「今後の雨量によっては緊急放流もある。サイレンなどの警報に注意を」と呼びかけた。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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