中山直樹
鹿児島県の屋久島で2016年9月、フィールドワーク科目に参加した九州大の男子学生(当時19)が川で水死した事故で、遺族が引率の教授(退職)と九州大に対し、安全管理体制に不備があったとして約9100万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が17日、福岡地裁であった。日景聡裁判長は大学の過失を認めて国家賠償法に基づき、大学に約7700万円の賠償を命じた。教授個人に対する請求は退けた。
判決によると、引率した教授は16年9月、屋久島で行われた同大のフィールドワークの一環として、学生に川への入水を指示。その際に救命胴衣を着用させず、参加者2人がおぼれた。このうち、死亡した男子学生は約1時間後に下流で発見された。
判決で日景裁判長は「被告側の重大な過失が認められる」とした上で、事故は教授が公務員として同大の職務を遂行する中で起きたものだとして、大学側の賠償責任を認めた。
判決後の会見で原告の弁護団は「大学生の事故は『自己責任』などとして、大学側に安全管理の責任を問わない司法判断が続いていた。今回の判決は、全国の大学の安全管理への認識を改めさせることにつながる」と評価した。
会見では、亡くなった男子学生の父親も「大学だけでなく全国の教育機関における安全な管理体制の構築につながってほしい」と述べた。九州大総務部は「判決文が手元に届いていないので、コメントは差し控える」とした。
弁護団によると、授業や行事で起きた事故を巡り、大学側の責任を全面的に認めた判決は珍しいという。(中山直樹)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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