乳児のけが、父に無罪判決 大阪地裁「揺さぶる暴行ではない可能性」

松浦祥子

 2017年11月、生後2カ月の長男の体を激しく揺さぶるなどの暴行を加えて頭部に急性硬膜下血腫などを生じさせたとして、傷害の罪に問われた写真家の父(59)の判決が17日、大阪地裁であった。末弘陽一裁判長は「暴行を加えたと認めるには合理的な疑いが残る」と述べ、無罪(求刑懲役5年)を言い渡した。

 乳幼児を激しく揺さぶって脳の損傷が起こるとされる「乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)」は、急性硬膜下血腫▽眼底出血▽脳の損傷――の3症状が診断のポイントとされるが、ほかの病気でも症状が出ることがある。見極めが難しく、無罪判決も相次いでいる。

 末弘裁判長は、軽い力でも出血しやすい先天性疾患の可能性があるとし「激しく揺さぶるなどの暴行でなくても、頭部のけがが生じた可能性がある」と指摘。父には暴行を加えるような動機もないとし、無罪が相当だと結論づけた。

 父は弁護人を通じて「逮捕され、家族はバラバラに引き裂かれた。検察は虐待と決めつけるのではなく、子どもに何が起こったのか、本当の理由を探す努力をしてほしい」とコメントした。大阪地検の北岡克哉次席は「判決内容を精査し、適切に対応したい」とする談話を出した。(松浦祥子)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment