宮野拓也
自然災害が激甚化している実態を受け、政府は24日、土砂崩れや洪水などの予報業務に民間事業者が参加しやすくなる気象業務法の改正案を閣議決定した。気象庁などによる予測技術の審査が通れば、事業者に気象予報士がいなくても予報できるようになる。
予報は、災害発生に注意を促すものだが、警報や注意報とは異なる。民間事業者が土砂崩れ・高潮・波浪・洪水の予報をする場合、これまでは気象予報士の設置が必要だった。最新技術によって地表を流れる水の量をシミュレーションする高度な予測技術が生まれており、予報に必ずしも気象予報士を必要としない状況になっていたという。
土砂崩れと洪水の予報業務の許可を得た事業者はこれまでゼロ。気象庁や国土交通省は、国が出す予報を補完するニーズがあるとして、今後5年間で40ほどの参入を促したいとしている。工場周辺の災害を予報するなど、民間事業者が個別のリスクに対応することを想定している。
水防法の一部の改正案も閣議決定された。これまでの洪水予報は主に国が下流部分を、都道府県が主に上流部分を担当していたが、2021年から、国が両者を一体として予測する技術が導入された。
法改正により、国がその過程で得た情報を都道府県に提供することが可能となり、都道府県の管理河川でより早い洪水予報を出せるようになるという。改正後5年間で都道府県の対象河川を約900に広げたいとしている。(宮野拓也)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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