安田朋起、宮野拓也
上陸前に急発達し、気象庁が最大級の警鐘を鳴らした台風14号。19日にかけて、これまで経験したことのないような暴風や大雨をもたらし九州を縦断した。
17日朝には中心気圧が910ヘクトパスカルまで一気に下がり、そのまま上陸すれば1951年からの観測史上、「最強」の上陸となると見込まれた。気象庁の黒良(くろら)龍太予報課長は急発達しての上陸予想に「30年あまりの気象庁勤務でも見たことがない」と驚きを隠さず、理由に海水温の高さなどを挙げていた。
九州大の川村隆一教授(気象学)は「夏台風によく見られる『水蒸気コンベヤーベルト』という現象がフィリピン沖の南海上で起き、西からの季節風に伴って台風に大量の水蒸気が供給された」とその要因を指摘する。
18日夜に鹿児島県に上陸した時の中心気圧は935ヘクトパスカル。ピーク時より弱まったが、それでも観測史上は「最強級」。沖縄以外で初めて鹿児島県に暴風などの特別警報が、宮崎県に大雨特別警報が出された。上陸後も暴風域は九州全体を覆い、大型を保ち続けた。
ただ、強さは気象庁の予想よりも衰えた。九州北部到達時点の中心気圧は975ヘクトパスカル。同庁は勢力を落とした要因を二つ挙げる。
一つは、台風が大型だったた…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル