札幌市が児童虐待の早期発見や児童保護のために関係機関とつくる「要保護児童対策地域協議会」(要対協)が、昨年度に支援策を検討した事例は前年度比1・6倍の786件に上り、過去最多だったことがわかった。同市内で池田詩梨(ことり)ちゃん(当時2)が衰弱死した事件から5日で1年を迎える。
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支援の検討最多
詩梨ちゃんは要対協の対象事案になっていなかった。専門家らによる市の検証部会が3月に公表した報告書は、「どう考えても、要対協にて進行管理を行うべき事案」として、リスク評価の甘さと組織内や組織間での情報共有ができていなかったことを厳しく指摘していた。要対協での検討事例の増加から、小さな命を救うために関係機関が連携強化に取り組んでいることがうかがわれる。
要対協は各区に置かれ、児童相談所(児相)や各区の家庭児童相談室(家児相)など市の組織▽学校▽保育所▽医療機関▽警察――など関係機関が集まり、支援が必要な子どもについて、情報交換や支援内容を協議する。虐待やその恐れがある児童のほか、病気や経済的困窮などで産前からの支援が必要な「特定妊婦」も支援対象。各区の家児相が事務局を務める。
要対協は支援が必要なケースが報告されると、「個別ケース検討会議」を開いて、危険度を判断したり、支援計画を検討したりしている。
要対協での情報交換や協議は守秘義務違反にはならない。構成機関以外にも情報提供や必要な協力を求めることができる。多くの機関が連携することで、虐待を早期発見し、役割分担を決めて対応できる利点がある。
市児相によると、各区の要対協が2019年度、検討対象とした事例は前年度の492件から294件増えた。集計方法が異なる年度はあるが、記録を確認できる12年度以降で最も多い。
また、個別ケース検討会議は前…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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