聞き手・平賀拓哉
韓国・ソウルの繁華街「梨泰院(イテウォン)」の雑踏事故。ハロウィーンを祝う夜に起きてしまった惨事で、150人以上が亡くなりました。
日本でも21年前、悲惨な雑踏事故がありました。
兵庫県明石市で2001年7月21日に発生した、「明石歩道橋事故」。楽しいはずの夏祭りの花火大会で、高齢の女性や幼い子どもたちが命を落としました。
歩道橋事故遺族の弁護団事務局長を務めた佐藤健宗弁護士(兵庫県弁護士会)は、二つの事故にはいくつもの共通点があると指摘しています。
さとう・たけむね
1989年弁護士登録。1991年の信楽高原鉄道事故、2001年の明石歩道橋事故、05年のJR宝塚線(福知山線)脱線事故でそれぞれ遺族側代理人となった。事故調査のあり方についても提言を続け、鉄道安全推進会議(TASK)事務局長や消費者庁の事故調査のあり方検討委員会委員、宮城県石巻市の大川小学校事故検証委員会委員も務めた。
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――ソウルで起きた梨泰院事故をどう見ましたか。
一言でいうと、デジャブです。満足な計画もなく、10万人以上が一つの場所に集中する。これまで雑踏事故が起きなかったのはたまたまであって、起きるべくして事故が起きたと思います。
歩道橋事故もそうでした。花火大会の会場は、兵庫県明石市にある人工砂浜がある公園でした。最寄りのJR朝霧駅から公園につながる約100メートルの歩道橋の道幅は6メートルありましたが、公園に下りる階段の幅はその半分の3メートルしかありません。人の流れのボトルネックになるのは明らかでした。
それにもかかわらず、その後に判明した警察などによる警備の実態はずさんと言わざるをえませんでした。
「浴衣姿の女の子が立ったまま気絶していた」
花火大会の当日、人の流れが…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル