事故当日に遊具のロープ設置か 3歳男児が意識不明、埼玉の保育園

 埼玉県久喜市の「なずなの森保育園」で2日、男児(3)の首に園庭の大型遊具のロープが巻きつき、意識不明の重体になった事故で、園が事故当日にロープを設置していたことが、捜査関係者への取材でわかった。必要な時に使う運用だったという。県警は3日に実況見分を実施。保育士らから事情を聴きながら、事故の原因を調べる方針だ。

 事故は2日午前10時半ごろ、園庭にある土製の山で起きた。園の県警への説明では、山頂のウッドデッキから垂らしたロープが男児の首に巻き付いているのを、別の園児が発見。保育士らがロープを首からほどいた。園庭には34人の園児がおり、6人の保育士が付き添っていた。男児はほかの園児と遊んでおり、保育士はロープが巻き付く場面を見ていなかったという。

 捜査関係者によると、ロープはナイロン製で、ウッドデッキの杭から垂らしてあった。常設ではなく、この日は園が、園児が遊ぶ前に設置していた。

 また、園の県警への説明では、これまでに、今回の事故につながるような事案はなかった。県警はこうした証言に誤りがないか確かめるほか、園が山を設置した経緯や、ロープを使い始めた目的、安全管理の方法についても調べる考えだ。

 一方、市によると、市は保育園の監査を少なくとも2年に1度実施している。監査項目には、遊具の安全管理が含まれるが、事故が起きた園が問題視されたことはなかった。国の保育士の配置基準は、3歳児で園児20人に1人以上とされているが、こうした点でも違反はなかったという。

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 事件が起きた保育園は、乳幼児をのびのび育てる園として評判だった。悲惨な事故の発生に住民らから、驚きの声があがった。

 60代の女性は「園児にどろんこ遊びをさせたり、散歩をさせて自然の中で遊ばせたり……。素敵な保育園です」と話す。散歩の際の保育士による見守りも丁寧で、「園児を大切にしている」と感じていた。だからこそ、事故に驚愕(きょうがく)した。

 「幼児は一瞬の隙で事故に巻き込まれることがある。けがをした男児や親御さんが気の毒でならない」

 40代の男性はかつて息子(9)をこの園に通わせようと考えた住民の1人だ。保育士が園児を散歩させる姿をよく見かけるが、誠実に園児と接しているように見えるという。男性は「保育士が不真面目で、事故が起きたとは考えられない」と指摘。再発防止のために原因の解明を期待した。

 一方、70代の女性は男児の無事を祈っていた。3人の孫がおり、人ごとと思えないという。「保護者のことを思うとかわいそう。何とか元気になってほしい」小林未来、有元愛美子、仁村秀一)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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