いま安全に電車に乗っていられるのは、乗客ら107人が死亡したあの事故が原点ではないか。2005年4月のJR宝塚線(福知山線)脱線事故で負傷した女性が、事故の風化防止と犠牲者への祈りを込めた写経に取り組んでいる。思いをともにする人たちから寄せられた写経と合わせ、事故17年を前に現場に届ける。
17年前の4月25日朝、兵庫県伊丹市の増田和代さん(52)は、宝塚線快速電車の3両目に乗っていた。前日に派遣会社の契約が終わり、大好きな藤井フミヤさんがプロデュースした「大地の塔」を目当てに、愛知万博の会場に向かう途中だった。激しい衝撃の後、左足の上に数十人が乗っかってきた。病院と自宅を往復する生活になった。
事故後、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された。毎日たくさんの薬を飲む生活の中で、偶然出会ったシーズー犬が心の支えになった。「前を向こう」。その一心で歩み、ペットサロンを始めた。
20年7月、一緒に事故に巻…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル