57年前の東京五輪の「レガシー(遺産)」を引き継ぐ樹木が、北海道東部の遠軽(えんがる)町と南部の江差町に植樹された。参加国から贈られた種子が大木に育ち、採取した種子がさらに「第2世代の苗木」になった。このほど子どもたちの手で植えられ、後世にバトンがつながれた。
1964(昭和39)年の東京大会の際、友好の証しとして、44の国・地域の選手団から272種の種子が寄せられた。林業試験場などで苗木に育てられ、気候にあわせて日本各地に配られた。
北海道内では遠軽町の児童自立支援施設「北海道家庭学校」に託され、広大な敷地内にある「展示林」で、フィンランドやカナダなどの寒冷地に適応したマツの仲間約160本が根づいた。
清沢満校長によると、同校の造林への取り組みが評価され、植えられることになったという。「子どもたちが半世紀以上にわたって、下草を刈ったり枝を払ったりしながら大切に育ててきました」
それらの樹木のうち約40本が、今夏の2020東京五輪・パラリンピックに向けて伐採された。64年大会ゆかりの木で五輪レガシーを伝える目的で、大会理念の発信拠点となる日本オリンピックミュージアム(東京・新宿)や、開会式に登場した五輪マークの木製オブジェに使われた。
北海道家庭学校では二つの東京五輪を未来へつなごうと、伐採した木から種子を採取した。その種が苗木に育ち、この秋に同校の子どもたちが再び展示林に約630本を植えた。
この第2世代の苗木は江差町の「江差ユネスコ協会」(会長・照井誉之介町長)が譲られ、町運動公園に整備した「レガシーの杜(もり)」などに植樹された。アイルランド産のマツ類や、カナダ産とブルガリア産のトウヒ類の計20本が育っている。
ユネスコ協会は、アイルラン…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル