二人のキャンドル、今は竹灯籠 「ここにいるっちゃね」

 優しくてしっかり者。印刷機器メーカーの後輩で、社内のスキー合宿をきっかけにつきあい始めた。

 35年前、仙台のホテルで開いた結婚式には親族と同僚200人が来てくれた。

 当時、木皿俊克さんは29歳、妻の典子さんは5歳年下。純白のドレスがまぶしかった。

 式場で1メートルもの長さのキャンドルをもらった。結婚1周年の記念日に火をともすと、食卓にずらりと並んだ手料理が照らされた。

 「ロマンチックね」

 うれしそうに妻がほほえむ。記念日のキャンドルは恒例になった。

 宮城県名取市の閖上(ゆりあげ)地区に建てた家は2階から海が見えた。子どもが生まれ、仕事が忙しくなり、キャンドルの出番はなくなった。

 「また使うこともあるか」

 結婚式の写真と一緒に仏間の押し入れにしまった。

 2011年3月11日。

 「閖上は全滅」

あの日を境に、引きこもりがちになった木皿さん。見かねた自治会長から、ある言葉をかけられました。いまの心境を語る動画が記事後半にあります。

 その日の夕方、外出先にいた木…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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