国内三大公募展の一つ「二科展」で、まもなく100歳を迎える写真家の作品が今年も展示される。大阪市東成区の青木君夫さん。大正8(1919)年11月生まれで半世紀以上、二科展に作品を出品し続けている。「最高の展覧会」と語る特別な展覧会が、今年も間もなく幕を開ける。
通信兵として沖縄で終戦を迎え、写真が趣味の兄の影響で昭和29年ごろから写真を撮り始めた。自宅の暗室で写真を焼いてカメラ雑誌のコンテストに応募すると、次々と入選。二科展に入選した先輩に触発されて、二科展にも挑戦した。
最初は落選したが、その後連続で入選。入選歴を重ねて会友、会員となった。「一番純粋で、最高の展覧会。毎年出品するのが使命となり、雑誌のコンテスト応募をやめて二科展専門になりました」と振り返る。
大正3(1914)年、日本洋画壇の近代化を目指して設立された美術団体「二科会」が毎年作品を公募する二科展。青木さんは写真店を営む傍ら、日々カメラを手に歩き回っては、日常の風景を独特の感性で切り取った作品を生み出し、半世紀以上出品を続けてきた。元気の秘訣(ひけつ)は「毎日カメラを持ってあちこち歩いて撮影してきたこと」といい、現在は名誉会員だ。
「写真は人が気づかない良さを見つけて、『発見した』という自慢でもあるんです。まねじゃない個性が出た作品が一番」と話す。デジタル全盛時代にもフィルム、モノクロにこだわり、今年は偶然目にしたサクラの木を写した作品を出品。満開のサクラの下に、周囲の木から散った花びらが風で集まっている様子をとらえた。
昨年後半から体調を崩した青木さん。それでも、今月30日~11月10日に大阪市立美術館(同市天王寺区)で開催される「第104回二科展 大阪展」には、「できるだけ足を運びたい」と話している。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース