不妊治療で五つ子を妊娠したが、子宮内の胎児を減らす「減数(減胎)手術」のミスで全員を失ったとして、大阪府の30代の夫婦が産婦人科医院側に約2340万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、大阪地裁である。減数手術は「命の選別だ」といった批判などから水面下で行われることが多いとされ、専門家はルールづくりが必要だと指摘する。
「5胎(五つ子)は産めないから。このまま産むなら、あなたは死ぬよ」
訴状などによると、長男がいた女性は第2子を求めて、府内の産婦人科医院で排卵誘発剤による不妊治療を開始。2015年6月に五つ子の妊娠がわかると、院長は女性にそう告げた。
リスクを承知で5人とも産むか、全員中絶するか――。ショックで泣き出した女性に、院長は「『減胎手術』がある。悲しまなくていい」と切り出した。医院は手術の実施を公にしておらず、女性はそんな選択肢があると初めて知った。
減数手術は、妊婦の腹部から子宮内の胎児に針を刺し、塩化カリウムを注入するなどの手法で胎児を心停止させる。五つ子みんなを産んだとしても、子どもに障害が残ったり、母子ともに命を落としたりする恐れもあるため、女性は1週間悩んだ末に胎児を2人に減らす手術に同意した。
妊娠8~9週目。2度の手術で…
980円で月300本まで有料記事を読めるお得なシンプルコースのお申し込みはこちら
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル