五輪本番、レースで追い詰められた妹を救った兄の一言 

 スタートで8メートルの傾斜を下り、一気に時速約60キロまで加速する。三つのコーナーと大小のこぶを越え、50秒足らずで勝負が決まる。29日に有明アーバンスポーツパークで始まった自転車・BMXレーシング女子。豪州代表の榊原爽(サヤ、21)はこの日のレースで30日の準決勝進出を決めた。

 日本人の母を持ち、幼少期を過ごした東京で開かれる五輪の舞台。特別な思いがあった。本当は2人で出場するはずだった。

 爽にとって兄の魁(カイ、25)はBMXを続ける力をくれた人だ。

兄は練習、妹は泥遊び

 魁が初めて自転車を買ってもらったのは、2歳の誕生日だった。当時住んでいた豪ゴールドコーストの自宅近くの丘をすごい勢いで下ったり、急ブレーキで止まったり。保育園の裏にコースがあり、幼少時からレースにのめり込んだ。

 爽も一緒にコースに連れていかれた。でも、BMXより「(コースの脇で)泥団子を作る方が興味があった」。4歳で出場した初レースでは、最初のジャンプで3度転んで「もうやらない」とそっぽを向いた。

 だが、隣にはあふれる熱意で…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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