金子和史 川嶋かえ
東京五輪・パラリンピックを舞台にした談合事件は、大会運営の中核を担った組織委員会の元次長と広告最大手「電通」幹部らの逮捕に至った。明らかになったのは、五輪に携わる公の意識に欠けた組織委に、電通が加担して作り上げた「出来レース」だった。大規模なスポーツ大会の国内開催が今後も相次ぐ中、透明性の確保と着実な運営の両立が問われている。
「今回の談合は、発注者である組織委と業界最大手の電通が一緒になって主導したという点に尽きる」。捜査関係者はそう語る。
東京地検特捜部は昨年7月、電通OBの組織委元理事をめぐる汚職事件で、電通や広告大手「ADKホールディングス」などを幅広く捜索。この時点で基礎資料を押収して談合疑惑を把握し、ADK側からは談合を認める供述も得た。
11月、汚職捜査を終えるとすぐに談合に本腰を入れ、電通を再捜索するなどした。電通は捜査に全面協力した汚職事件では逮捕者が出なかったが、談合では直接の容疑対象になった。
今回適用された独占禁止法の「不当な取引制限」が成立するには、①他の業者と意思の連絡(合意)をして②互いの事業活動を拘束(相互拘束)し、③一定の取引分野で競争を制限したという立証が必要になる。
特捜部や公正取引委員会が重視する証拠が、組織委と電通が作った一覧表だ。
容疑対象となったテスト大会…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル