朝日新聞デジタルで6月に始まった「コメントプラス」。最新のニュースや話題を伝える記事に続けて、専門的な知識や豊かな知見をもつコメンテーターのコメントを読むことができます。記事の見出し横にある吹き出しマークが目印。最近注目を集めたコメントの中身を紹介します。
7月31日配信の記事「五輪選手へ相次ぐ中傷 人格否定、被爆地からかう言葉も」(https://www.asahi.com/articles/ASP7064BDP70UTIL011.html)には、ジャーナリストの津田大介さんがコメント。誹謗(ひぼう)中傷した匿名の投稿主を「特定」するための費用が裁判で全額認められるケースが増えていることや、今年の通常国会でプロバイダー責任制限法が改正され、発信者特定のプロセスが簡素化されたことを分かりやすく紹介。ただそれでも本質的解決にはならないとし、「SNSを運営するプラットフォーム事業者が自主的に取り組みを行うほかありません。五輪でアスリートや著名人への誹謗中傷問題が深刻化したいまだからこそ、プラットフォーム事業者にはより高い社会的責任、実効力のある対策を提示する責任が求められます」と指摘しました。
エッセイストの犬山紙子さんもコメント。「生涯を通じて5人に1人が心の病気になると言われる中、心の病への理解遅れは命に関わる問題」とし、自らの経験も踏まえ、「批判と誹謗中傷は違うものであること。そして誹謗中傷は『心の持ちよう』くらいで無効化することもできない。無効化できるということは、心を麻痺(まひ)させるということだからだ。アドバイスのつもりで『スルーしたら』という声もよくあがるがそれも相手を追い詰めてしまう言葉になる」
7月30日の記事「仕事、家事…新型コロナで『女性に負荷偏る』 厚労白書」(https://www.asahi.com/articles/ASP7Z4HLHP7ZUTFL008.html)には、SDGs市民社会ネットワーク理事の長島美紀さんがコメント。「新型コロナによる経済的・社会的影響を大きく受けたのは女性でした。緊急事態宣言や海外のロックダウンによってシャドーパンデミックと呼ばれたDVの世界的な増加傾向や、失業や収入減などの経済的打撃を受けたのも女性であり、シーセッション(女性の不況)と呼ばれる状況を作り出しています」と警鐘を鳴らします。
さらに、男性学研究者の田中俊之さんは「日本ではフルタイムで働いている場合でさえ、男性の賃金を10とした場合、女性の賃金は7程度です。これだけの格差があれば、多くの家庭で育児休業を取ったり、時短勤務をしたりするのは女性というのが『合理的』な選択になってしまいます。平時から男女で大きな偏りがあった家事・育児の分担が、2020年4月の緊急事態宣言時に、とりわけ未就学児童や小学校低学年の子どものいるご家庭でより顕著になったのは、職業領域における女性差別を放置してきた当然の結果だと言えます。本気で『性差によって負担に偏りが生じない社会づくり』を目指すのであれば、まずは男女の賃金格差を解消する必要があります」と指摘しました。
7月29日の記事「菅首相のメッセージ、逆効果か 『明るい話題』の危うさ」(https://www.asahi.com/articles/ASP7Y6WV5P7YUTFK00N.html)には、時事芸人のプチ鹿島さんがコメントしました。「以前から新聞各紙でも見かける言葉に『コロナ疲れ』『自粛疲れ』というのがあります。でもこの言葉、何か国民の責任みたいなニュアンスも感じてしまいます。正しく言えば菅首相による『説明されない疲れ』ではないでしょうか。政策も含めた『メッセージが無い疲れ』。私は以前からそう言い続けています」
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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