芝野虎丸名人への挑戦をかけた第45期囲碁名人戦挑戦者決定リーグ戦は25日、無敗で単独首位を走る井山裕太棋聖が3位の許家元(きょ・かげん)八段との上位決戦を制し、シリーズ6勝0敗と星を伸ばした。許は4勝3敗となり、挑戦圏外に去った。一方、2位の一力遼八段は勝って5勝1敗とし、井山を星一つ差でピタリ追走。今期の挑戦者争いは、許の脱落により井山と一力の2人に絞られた。
大阪・梅田の日本棋院関西総本部であった井山―許戦は序盤から難戦になり、中盤の読み合いで黒番の井山が抜けだし、黒番中押し勝ちした。井山の残る2局の対戦相手は、7月が張栩(ちょう・う)九段(2勝4敗)、8月が林漢傑(りん・かんけつ)八段(2勝4敗)。ともに残留争いの渦中におり、激戦が予想される。井山は「あと二つあるので、(挑戦権獲得は)まだ意識する段階ではない。強敵が続くので、これまで通り精いっぱい戦いたい」。一方、残留争いに転じる許は「結果は残念だが、今の自分の力は出せていると思う。最後まで全力を尽くしたい」と話した。
井山を1敗で追う2位一力は、東京・市ケ谷の日本棋院で林と対戦。黒番の一力は序盤から実利で先行。追い込みを図る林の攻勢をかわし、黒番中押し勝ちした。井山との直接対決はすでに終えており、唯一の黒星が井山戦だった。挑戦するには井山の敗戦を待つしかない。残るは2局の相手はいずれもタイトルホルダーで、7月が羽根直樹碁聖(2勝4敗)、8月が村川大介十段(2勝3敗)。「とにかく1敗を守って追いかけるしかない。それが井山さんへのプレッシャーにもつながる」。週明けの29日には張栩との碁聖戦挑戦者決定戦を控え、多忙ながらも口調からは充実ぶりがうかがえた。
この日はもう1局、東京の日本棋院であり、河野臨(りん)九段が羽根を破って3勝4敗に。残留に向けて貴重な勝ち星を挙げた。(大出公二、渡義人)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル