総合型選抜(旧AO入試)での大学受験を考える高校生たちにとって、9月の出願を控えた夏休みは勝負の時期。どのように志望校を決め、夏をどう過ごしたのか。この春、入学した大学1年生に聞いた。(柏木友紀)
「夏休みはどう過ごしたらいいでしょうか」。今月半ば、総合型選抜の指導に定評のある早稲田塾で、高3女子がクラス担任助手の大学1年生に質問していた。
慶応大法学部が第1志望で、「AI(人工知能)裁判官について関心があり、裁判員制度を研究したい」という。夏休みは裁判員経験者らによる座談会へも参加を予定する。
「募集要項などにある学部長からのメッセージを、繰り返し読むといい。目指す学術的な方向性や、どんな学生が欲しいかなどのヒントが必ずあります」。アドバイスするのは同塾OBで今年4月、慶応大の湘南藤沢キャンパス(SFC)にある環境情報学部に入学した横山景星(けいせい)さんだ。「同じように法学部を目指す仲間と、ディスカッションを深めるのもオススメです」
部活に夏期講習、学外活動など時間のやりくりに悩む高2男子には、こう助言した。「僕も高2の夏休みが一番時間的に大変だった。夏休みが終わった時にどんな自分になりたいか、目標を定め、そこから逆算して優先順位を付けるといい」
慶応大SFCへ、リポート70ページを提出
横山さんがSFCへの進学希望を固めたのは、三田国際学園高(東京都世田谷区)1年の時。幼い頃から昆虫や自然が好きで、メディカルサイエンステクノロジーコースに在学し、昆虫や微生物の分解能力などに関するバイオ研究を進めていた。SFCが山形県鶴岡市に持つバイオ研究の拠点での活動に憧れてもいた。
高2の夏は積極的に課外活動に挑戦。「自分の可能性を広げてみようと思った時期でした」。鶴岡市で慶応大などが主催する高校生バイオサミットに参加し、カミキリムシと微生物の研究で審査員特別賞を受賞した。
香港で開かれた早稲田塾の夏のプログラムにも参加。「逃亡犯条例」改正案をきっかけとする学生たちの抗議活動のまっただ中で、「自由」や「民主主義」について考察を深め、キャンパス内の写真や、激化するストライキで1面に白紙を掲げた現地の新聞などを持ち帰った。加えて10月の文化祭に向け、実行委員長として準備を重ねながら、リーダーシップ論にも関心を広げた。
順調に見えたが、高3の夏休みを前にした昨年6月、迷いが生じた。コロナ禍で学校も塾もオンライン授業が続き、論文などを読み進めるうちに、「バイオ研究者の道を進むには、自分は学術的視点が足りないのではないか」と悩んだ。
7月からは全く違う視点で自…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Leave a Comment