京都大は24日、霊長類研究所(愛知県犬山市)のチンパンジー飼育施設の整備費をめぐる不正な支出に関与したとして、松沢哲郎特別教授(70)と友永雅己(まさき)教授(56)を同日付で懲戒解雇したと発表した。そのほか4人を停職や戒告の懲戒処分とした。特別教授は、国際的に極めて顕著な業績がある人物を任命する京大の制度で、懲戒解雇された例はない。
2011~14年度に整備された飼育施設をめぐっては、京大が6月に約5億円が不正支出だったと認定。会計検査院は今月、加えて約6億円が不適正な支出だったと指摘した。
京大は、松沢氏の処分理由について、約2億3千万円の不正支出に関与したほか、当時の霊長類研所長として研究費を管理する注意義務を怠ったなどとしている。友永教授については、施設を設置した熊本県内の京大施設の所長として、約4億8千万円の不正支出に関わったなどとした。
京大はほかに、野生動物研究センター(京都市)の教授(47)を停職1カ月、同センター特定准教授(50)を同2カ月、霊長類研の事務職員2人を戒告の懲戒処分にした。
処分を受け、松沢氏は自身のウェブサイト(https://www.tetsuro-matsuzawa.net)で「交付された全額がケージ(飼育施設)建設の事業のみに使われ、国民の皆様に由来するお金はいっさい無駄に使われていない」などと主張。「チンパンジーたちが安寧に暮らし、心の進化の研究がさらに進むことを祈念している。今後については、弁護士とも相談しながら進める」とコメントした。(野中良祐)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル