原田悠自 宮廻潤子
水戸京成百貨店(水戸市)が国の雇用調整助成金(雇調金)約1億3千万円をだまし取ったとされる事件で、詐欺容疑で逮捕された同社の元社長・斎藤貢容疑者(66)が部下に対し、不正受給に関する「計画表」を作るよう指示していた疑いがあることが捜査関係者への取材でわかった。
また、茨城県警が2023年3月だけでなく同年秋にも同社を家宅捜索していたことも判明。県警は、計画表に関する電子データなどを押収しており、斎藤元社長が違法行為を事前に認識していたことを示す重要な証拠とみて調べている。
捜査関係者によると、県警に対する当時の総務部長(57)らの説明では、斎藤元社長は2020年春、新型コロナの影響で経営不振に陥ることを懸念。元総務部長に「黒字確保のために何とかしろ」などとして、従業員の休業日数に応じた雇調金の想定受給金額を計算するよう指示したという。
これを受けて元総務部長は、受給額の想定について勤務実態に即した休業日数での正しい計画表と、休業日数を水増しした不正な計画表の両方を提示。不正な計画表について、「これはだめですよね」と尋ねると、斎藤元社長は「(だめだという)その考え方がおかしい」などと、元総務部長を叱責(しっせき)したという。
斎藤元社長は23年11月、朝日新聞の取材に計画表を元総務部長に作らせたことを認めたが、「あくまで計画であり、まさか本当にその通り(水増しした休業日数で)申請書類を提出するとは思わなかった」と話していた。
県警によると、逮捕容疑は当時の従業員らと共謀して、20年4月11日から5月10日分の従業員約400人の休業日数を水増しした虚偽の雇調金申請書を茨城労働局に提出し、同年9、10月に雇調金計約1億3300万円を詐取したというもの。捜査関係者によると、斎藤元社長は容疑を否認しているという。(原田悠自、宮廻潤子)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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