31日午後8時前、東京都調布市を走行中の京王線の特急電車で「刃物を持った男がいる」と110番通報があった。電車内では火災が発生し、シートが燃えたという。東京消防庁は男女17人を搬送。警視庁によると、70代の男性が右胸を刺されて意識不明の重体で、ほかに約10人がのどの痛みなどを訴えている。同庁は、車内で刃物のような物を持っていた自称服部恭太容疑者(24)を殺人未遂容疑で現行犯逮捕した。
電車内で乗客が襲われる事件は8月にも都内を走行中の小田急線で発生した。登戸(川崎市多摩区)―祖師ケ谷大蔵(世田谷区)間を走行中の快速急行で、乗客らが次々と刃物で切りつけられ、30代の男が殺人未遂などの疑いで逮捕された。男は車内にサラダ油をまき、火を付けようとしたとされる。服部容疑者はこの事件について「まねた。サラダオイルで火が付かなかったのでライターオイルを使った」などと説明し、「人を殺して死刑になりたかった」と供述しているという。
京王電鉄によると、電車は京王八王子発新宿行きの特急(10両編成)で、午後7時54分ごろに調布駅(調布市)を出発。警視庁によると、服部容疑者は先頭から6両目で火を付け、8両目で男性を刺した疑いがある。男性と面識はなかったとみられるという。警察官が身柄を確保したときには9両目にいたという。
電車は調布駅から2駅目の国領駅で緊急停車した。車内には煙が充満しており、乗客は車両の窓などからホームに脱出したという。京王線は事件の影響で、直後から上下線で運転を見合わせた。
ツイッターには、走行中の車両で火の手があがり、乗客が別の車両に走って避難する様子を撮影した動画が投稿された。
投稿された動画によると、乗客らは「危ない」「燃えてる」などと悲鳴をあげながら、車内を走って逃げていた。車内で火が上がり、煙が立ちこめる様子も確認できた。電車が国領駅に着くと、乗客らは「降りよう」「止めて」と声を掛け合いながら、窓をあけてホームに次々と降りていった。
国領駅のホームから撮影された別の動画では、停車した電車内にとどまっていた服部容疑者とみられる男を、複数の警察官が取り囲んで確保する様子も映っていた。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル