「京都タワーはろうそくや」。京都市出身の記者は子どものころ、母親からこう教わった。京都駅前にそびえ立つ京都タワー。京都人でなくても見覚えがある人は多いと思う。建築物の「高さ規制」が厳しいこの街で、どういう経緯でできたのか。お寺や神社に囲まれながらも浮かずにランドマーク的な存在になっているのは、なぜか。
まず基本情報から。東海道新幹線が開通し、東京オリンピックが開催された1964年の12月に開業。旧京都中央郵便局の跡地で、京都の財界が一丸となり当初は観光拠点のビルを建てる計画だった。だが、ビル建設を担った会社の役員が横浜のマリンタワー(61年開業)を見て触発された。「ビルの屋上にタワーを建てることは可能なのか」――。京都大学で建築構造を専門とした棚橋諒教授に相談したところ、「ビル内部は影響を受けず建てられる」との見解が示され、タワー建設が進められた。
高さは131メートル。建設当時の高さ規制は31メートルだったため、31メートルのビルの上に100メートルの「工作物」として計画し、高さ制限を「クリア」したという。設計者はモダニズム建築で知られる山田守。曲面や曲線を用いた個性的なデザインで有名で、日本武道館など名建築を残した建築家だ。武骨な鉄鋼ではなく、円筒状の優雅なデザインが採用された。
運営会社「京阪ホテルズ&リゾーツ」に京都タワーのモチーフは何かを聞くと、意外な答えが返ってきた。
白くほっそりとした優雅な姿…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Leave a Comment