全国転勤がつきものの記者の間で、福岡での暮らしを悪く言う人には、まず出会わない。そう言うと、地元の人にも決まって「住みやすかでしょ~」と自慢される。福岡は市民の「自己肯定感」が高いと感じる。
魅力を挙げると切りがない。まず食べ物が安くておいしいし、買い物は天神か博多でだいたいそろう。市中心部から5~10分足らずで空港に行けるなど、街の機能がコンパクトで、自然もあるし……。
おかげで、福岡市の人口はずっと右肩上がり。不動産会社が行う「住みたいまちランキング」でも例年上位に入っている。多くの人をひきつける街の形はいつ、どのようにつくられたのだろう。市長選を前に、戦後のまちづくりの歩みをたどってみた。
まず、市議会の図書室に行ってみた。1961年、市は全国に先駆けて、まちづくりの総合計画(マスタープラン)を作成していた。当時から商都として栄えていたが、計画ではそこに「工業の色を加えたい」としている。議会の議事録をみると、背景には全国有数の工業地帯として発展した北九州地区への対抗意識もあったことが見て取れる。
市経済は他都市と比べて第3…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル