TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。3月27日(金)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、介護福祉士の上条百里奈さんが“新型コロナの介護現場への影響”について述べました。
◆新型コロナの影響で“介護崩壊”も!?
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、名古屋市が3月20日まで休業要請をしていたデイサービスが3月21日から一部で再開。休業要請を延長しない理由について、市は「ここ数日の感染者数が少なく終息の兆候が見られること、また介護現場への負担を考慮したため」としています。
介護の現場を担っている上条さんは「集団感染を防ぐという観点から見たら、(デイサービスの)休業は良い判断だと思うんですが……」と言いつつ、休業となるとその分「訪問介護サービスが必要になってきますよね」と指摘。現在はデイサービス職員が訪問介護サービスにまわってもいいという措置が緊急でとられたそうですが、上条さんは「デイサービスと訪問介護サービスは仕事内容が全く違う」と言います。
その違いとは、「昼間来て夕方帰るデイサービスと、その場所にあったサービスを提供する訪問介護サービスは、内科のお医者さんが急に『明日、外科に行ってください』と言われるぐらい違う。気付かなければならない部分など、視点が全く変わってくる」と上条さんは現状を危惧。
そして、訪問介護サービスで支えきれなかった場合、居宅(在宅)介護支援事業所のケアマネージャーに連絡し、そこから様々なところにSOSが出されます。例えば家族もその1つですが、同居者も高齢者であるケースや、そもそも家族では支えられないからサービスを利用しているだけに、負担はかけられません。
次に別の訪問介護事業所に要請がいきますが、現状ホームヘルパーの平均年齢は58.7歳。なかには70歳のヘルパーもいるそうで、「高齢ということで今は休業したい、やめたいと思っている人も数多くいて、そもそも人材が足りない中でそこまで補えない」と上条さん。次は入居型の施設となるのですが、そこも空きがないとか。そうなると供給量が足りなくなる、と上条さんは指摘します。
「業界が抱えてきた課題が、こうした有事の際に一気に噴出してくるってことですね……」とMCの堀潤が感想を述べると、上条さんは頷きつつ「2025年問題と言われてきたものが5年前倒しになってやってきていて、“介護崩壊”にもなりかねない」と不安を口にします。
◆介護現場の現状は……
もう1つ問題なのが認知症の高齢者。徘徊や暴力行為など認知症による周辺症状(BPSD)が、上条さんが携わっている現場でも高まってきているそう。そもそも徘徊は認知症の高齢者だからするのではなく、「認知症の高齢者がストレスや不調による周辺症状が出るから徘徊になる」と上条さんは説明しつつ、今は一人暮らしの高齢者も多いだけに「街中での徘徊者が今後増えていくんじゃないか」と案じます。
今回休業要請が出ているのは「通所介護」のみですが、その影響は他の形態にも及ぼしているだけに「包括的なサポートが急務」と上条さんは言い、何よりも「地域住民の介護を必要とする人への理解を深めてほしい」と主張していました。
キャスターの宮瀬茉祐子は、介護施設には隔離施設などもないだけに院内感染の危険性を示唆すると、上条さんは同意しつつ、マスク以上にアルコール消毒とゴム手袋が不足している現状を吐露。「そもそも新型コロナとか関係なく、感染症を持っている高齢者がたくさんいるなかで、そういった方々の介助をするということは、いろいろな感染症のリスクがある」と物資不足を訴えていました。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース