かつて大人気のレジャースポットだったボウリング場が全国的に減少傾向にある。施設の老朽化などで、名古屋では歴史あるボウリング場が相次いで閉店を発表した。ボウリングは参加人口の減少に直面しているが、人気再燃に向けた兆しもあり、関係者は期待を寄せている。
半世紀以上の歴史を持つ「星が丘ボウル」(名古屋市千種区)は12月5日で営業を終えると発表した。利用者からは別れを惜しむ声が上がる。
「独身の時から友達と遊ぶならここでした。さびしいですね」。27年ほど通っており、今でも家族と年に5回は訪れるという同市天白区の大倉康司さん(44)はしんみりと語る。
大倉さんはソファから、妻の史子さん(45)と子どもたちの後ろ姿を見守り、長女(中1)がピンを倒すと、みんなで喜んだ。「ボウリングは子どもも一緒に楽しめますし、自然とスキンシップがはかれる」と史子さん。長女も「狙ったところにボールが行くとストレス発散になる」とうれしそうに話した。
「健康で長生きできているのはここのおかげ」。近くの「ご長寿ボウラー」の長屋昌子さん(89)は週に3回通う。60代でボウリングを始め、やみつきになった。「全身を使って、足腰が鍛えられる。頭を使うのでボケ防止にもなる」と、ボウリングの魅力を話し出すと止まらない。友人との交流も楽しみだったが、閉店を聞き、「さびしいですね。慣れた場所がなくなるのは」と惜しんだ。
コロナ前の光景戻りつつあるけど…苦しい現状
運営会社「東山遊園」によると、「星が丘ボウル」はボウリングブームの真っただ中だった1970年にオープン。当時1フロアでは世界第3位の100レーンを誇った。「全日本ミックスダブルス」や「全国高校対抗ボウリング選手権大会」など、数多くの全国大会の会場にもなるなど、名古屋を代表するボウリング場の一つだ。
だが、半世紀以上にわたって使用されている木製レーンやピンセッターなどが老朽化。費用面などから全ての改修が難しいこともあり、閉店を決めた。
コロナ禍で一時は客足が遠のいたものの、今年はコロナ前の2019年度の6~7割ほどまで回復。子供会や会社など、団体予約も戻ってきていたという。
利用者から存続を求める声もあるというが、「星が丘ボウル」の蛭川雅文マネジャー(50)は「このまま無理して営業しても、設備は数年くらいしか持たない」と指摘。「ボウリングの場やサービスの提供ができなくなってしまうのは心苦しい」と話した。
名古屋市内では、73年に開業した中区の「スポルト名古屋」も入居先との賃貸契約終了を理由に、年内の閉店を発表している。また、名古屋駅近くの商業ビル「名鉄レジャック」の営業終了に伴い、ビル内にあったボウリング場が3月末に閉店した。
減少するボウリング人口…希望の光は桑田佳祐さん?
「日本ボウリング場協会」(東京)によると、1970年代初頭のボウリングの大ブームで、ボウリング場はピーク時(72年)に3697施設まで増えた。
だが、翌73年末に起きたオ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル