飼育している生き物の種類数が約1200と、日本一を誇る鳥羽水族館(三重県鳥羽市)。アシカやジュゴンなど、館を代表する人気者がいる一方で、公式サイトでも宣伝されない「訳あり者」もいる。華やかな「表舞台」の裏側をのぞいてみると、生き物たちの別の姿も見えてきた。
「密輸された…」とは紹介しませんが
スナドリネコの赤ちゃんなどがいる展示ゾーン「奇跡の森」。そのバックヤードでは、密輸入され、税関に「押収」された生き物たちが暮らしている。国からの寄託で、公益社団法人「日本動物園水族館協会」を通じて同館が引き取ったものだ。
東南アジアにいるモエギハコガメ、ヒガシアオジタトカゲ、キタインドハコスッポンなど、現在は12種。落とし物で所有者が見つからず、警察から引き取ったコガネオオトカゲもいる。
計3羽がいるインドコキンメフクロウとインドオオコノハズクは、週末に客の見送りで登場させることもあるが、ほかは温度管理のできる展示場がないなどの理由で、ほとんど公開されることがなく「日陰の身」だ。トッケイヤモリのようにペットショップでも見かけるものもいるが、飼育を続けているのは「種の保全」のためだという。
今、ベトナムなどに生息するスペングラーヤマガメから生まれた5匹の子どもに毎日、コオロギとペレットを与えて育てている。飼育研究部長で学芸員の三谷伸也さんは、「俗な言い方をすれば、水族館は『見せてなんぼ』だけど、『生かしてなんぼ、増やしてなんぼ』という面もある。地味な取り組みだが将来の野生種の状況を考え、増殖できる技術は確保しなければいけない」と力を込める。
「密輸」だろうがなんだろうが、大事な生き物であることにかわりはなく、広報担当者は「展示場が空けば、これらも公開することはあります。もちろん密輸された……なんて紹介はしませんが」と話す。
なぜ水族館に?驚きの「仲間」たち
「水族館に?」と驚くような「仲間」もいる。
ある日の週末の正午ごろ、屋…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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