人生のスタート遅れたトランス男性 体にメス、手術強制は「暴力的」

 性別を変更する際に、「生殖能力を失わせる手術は不要」と最高裁が判断しました。手術をして戸籍上の性別を女性から男性に変更したユーチューバーの木本奏太さん(32)に、当事者としての思いを聞きました。

 ――最高裁の決定をどう受け止めますか。

 まずは、本当に大きな「第一歩」だと思います。ただ、すぐに何かが変わるわけではありません。当事者全員が救われるためには、まだ課題が残っています。

 ――決定前に、最高裁に手紙を提出されたそうですね。

 自分の思いに加え、他の人の意見も書いて伝えました。

 僕らが手術要件の撤廃を訴えた記者会見の後、僕のSNSへの反応が1万件以上ありました。ほとんどが「こんなに厳しい要件だったなんて知らなかった」「ありえない」というポジティブな反応でした。当事者から、「顔を出して訴えてもらえて救われた」という感謝の声も寄せられました。

 ――自身が性別に違和を感じるようになったのは、いつごろですか。

 2、3歳の頃から、保育所などで「女の子」として振り分けられると泣きじゃくっていたそうです。その頃から、男の子として過ごしたかったのだと思います。

 小学校の低学年まではドッジボールやサッカーで男の子と遊ぶことが多かったのですが、4年生ぐらいになると、僕の学校では、なんとなく遊び仲間が男女に分かれていきました。「男の子と遊ぶのは恥ずかしいことなのかな?」と思い始めました。性別にとらわれない居場所を探し、独りで絵を描いたりして遊んでいました。

 ――中学や高校では、制服に悩んでいる人が多いと聞きます。

 中学では女子はセーラー服、高校はブレザーでしたが、スカートは女子生徒だけだったので、スカートがとても苦痛でした。運動部に入っていたので、できるだけ体操服で過ごしていましたが、授業中は制服を着ることが校則で決められていました。

 今、女子もパンツスタイルを…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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