人生もリンゴ飴もやり直せる 「失敗NG社会」に専門店が甘~く対抗

 「私、失敗しないので」が決めぜりふのドラマがあったが、現実には誰もが失敗する。そうはいっても、できることなら、傷つきたくないし、怒られたくない。他人に迷惑もかけたくない。

 そんな心情を受け入れた上で「失敗しても大丈夫」が合言葉の職場が福岡市早良区にある。

 住宅街の一角にある雑居ビル。その1階に今年4月、リンゴ飴(あめ)専門店「あっぷりてぃ」がオープンした。

 白を基調にした外観と内装の店内。厨房(ちゅうぼう)をのぞくと、3人のスタッフがせわしなく働いていた。

 棒を刺したリンゴを電磁調理器にかけた鍋の中に入れ、たぎった液状の飴をまとわせる。そのリンゴにカカオ味やバターミルク味のパウダーを振りかけていく。

 リンゴのさわやかな香りと砂糖を煮詰めた甘いにおいが周囲を漂う。

 店頭に並んだ、チョコやミルクのトッピングをまとった色とりどりのリンゴ飴を前にすると、甘さと酸味が絶妙に混ざり合うイメージが口の中いっぱいに広がる。

 お客が現れると、厨房にいた1人が応対した。

 カウンターには写真入りのメニュー表。左下に大きな赤い文字で「ご注文は指さしでお願いします」と書かれていた。

 「プレーン」を指さして個数は「1」。続いて「バターミルク」を指して個数は「1」。

 手ぶりで伝えるお客の注文を書き取ると、厨房にオーダーを取り次いだ。

 この日、働いていた3人を含めスタッフ7人のうち4人が難聴者。スタッフ同士は普段、会話でコミュニケーションを図っているが、聞き取りにくかったり内容が複雑だったりする場合は筆談で補う。

 ゆっくりで、もの静かな口調が店内の雰囲気を穏やかなものにしている。

記事の後半では、リンゴ飴のある“工程”に込められたオーナーの思いが明かされます。失敗することの大切さやその効能について、考えます。

 妻(44)と長女(11)も難聴者というオーナーの梶本真佑さん(41)は今から9年前、経営していたラーメン店を閉め、難聴児向けの放課後等デイサービス事業所の運営会社を立ち上げた。

30年前の悔しさ 「失敗してもいい」が店のコンセプトに

 なぜ、リンゴ飴専門店なのか?

 リンゴ飴ならではの工程に梶…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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