人間って何なんだろう。その疑問に向き合い始めたきっかけの一つが、「はだしのゲン」でした。
初めて読んだのは、小学2、3年の頃だったかな。学校の図書室で手に取りました。友だちの中には、家にある子もいましたね。みんなが読んだことのある人気の漫画で、話題に上ることが多かったです。
僕の父方のおばあちゃんも被爆者でした。市の中心部で学徒動員中に被爆し、右腕にケロイドがありました。どうやって逃げ、助かったのか。9年前に亡くなるまで、何回か質問しましたが、詳しく話してくれなかった。記憶がよみがえるのを恐れていたんでしょう。広島市にある平和記念資料館にも、絶対に行こうとしなかったです。
おばあちゃんがしゃべれないほどの体験って、一体どんなものなんだろう。その答えを埋めてくれたのも、「はだしのゲン」でした。主人公の中岡元(げん)(ゲン)の父と姉、弟は、原爆で崩れた家の下敷きになり、炎に包まれます。焼け死んでいく様を目の前で見た母は、平常心を失って笑い続け、ゲンが諭しても逃げようとしない――。
生々しいな、これが原爆のリアリティーなんだなって、子どもながらに思いましたね。おばあちゃんの周りでも、こういうことがあったんじゃないか。こんな恐ろしい原爆を落とし、落とされる人間って何なんだろう、と考えました。
もし入れ替わったら… 感想文に書いたこと
大人になってからのことです…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル