人類の世界拡散と繁栄のメカニズムを学際的・多角的に探究する大型プロジェクト「出ユーラシアの統合的人類史学」が進行中だ。ホモサピエンスの壮大な生存戦略に挑む研究事業の領域代表者、松本直子・岡山大教授(先史考古学)にねらいを聞いた。
「人間とは何か」研究者70人が結集
アフリカで誕生した私たちの祖先は数万年前にアフリカを脱出してユーラシア全域に広がったとされ、さらに旧大陸を飛び出して新大陸や太平洋の島々をめざした。
4万年前に日本列島へ、1万5千年前にベーリング地峡を伝ってアメリカ大陸へ、紀元前1500年ごろにはオーストロネシア語族がオーストラリアへ。「出エジプト」ならぬ出ユーラシアの人類の旅は、どのように始まったのか。70億もの人口増加と繁栄をもたらした人類文明の誕生には、どんなメカニズムが働いたのか。
日本、中南米、南太平洋地域を主な対象に、寒冷気候や海洋に適応していった人類の環境戦略と生態的地位(ニッチ)を、考古学や民族学、脳科学、遺伝学など複眼的な視点から総合的に解き明かそうとするのが、このプロジェクトだ。約70人もの研究者が専門分野を超えて結集し、文部科学省科学研究費助成事業の新学術領域研究として2019年度から5カ年かけて取り組んでいる。
「人間とは何か。環境次第で体の組成も生き方も、考え方も変わる、それが人間の特徴です。人類の普遍的な特質を知るには様々な要素が連関する旧大陸より、旧大陸と遮断されて独立した地だった新大陸や島々の方がわかりやすい。戦争や貧富の差はいつ始まったのか、文明の形成期に何があったのか。それを知ることは将来の指針にもつながるでしょう」
メダカの研究者も
七つの班に分かれて学際研究を進めている。
「モニュメント班」が扱うのは…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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