新型コロナウイルスの感染が広がるなか、異例のゴールデンウイークとなったことし。
三重・桑名市多度町では400年ぶりの事態も起きています。
5月4日、聞かれたのは人々の戸惑いの声でした。
「子どものころからずっと見てきて、残念ではありますけども」
「初めてのことなので、何をしていいか分からない」
「さみしいもんです。祭りがある時は、あちらこちら全部満員なんですけどね」(地元の人)
本来ならこの時期、地元の人に愛される祭り「上げ馬神事」が行われ、のどかな町に多くの人が訪れるはずでした。しかし、にぎわうはずの場所に人々の姿はありません。
人馬一体となって一気に坂を駆け上がる勇壮な祭り「上げ馬神事」。約2メートルの壁を超えることができた馬の数などで、その年の豊作を占う伝統行事です。
しかしことしは、新型コロナウイルスの影響で中止に。この日は宮司らによって、玉串奉納など祭りの一部だけが行われました。
「非常に残念としかいいようがないです」(多度大社・権禰宜 杉原将一さん)
過去に 中止になったことはあったのでしょうか?
「1571年に織田信長の兵火がありまして、その時には40年近く中止はありましたけど。戦時中も上げ馬自体は行われていたので。400年は中止はないので」(多度大社・権禰宜 杉原さん)
なんと、約400年ぶりの中止だといいます。
取材班は、過去に馬に乗り坂を駆け上がった男性・水谷将之さんの元を訪ねました。水谷さんは6年前、18歳の時に地区の代表を務め、坂を登り切ることに成功したのです。
「私も生まれてから祭りがないゴールデンウイークが初めてなので、違和感はすごく感じます」(水谷将之さん)
地元の人たちが、情熱を捧げる祭り。それを象徴するものがあるといいます。
「こちらが実際去年上げ馬神事に参加した子(馬)です」(水谷さん)
水谷さんの家では、上げ馬神事で貸し出す馬を10年以上飼育し続けてきました。
「今だと穏やかな顔をしているけど、(祭りが)近づくにつれ顔つきも変わってくる。(目が)血走ったというか、鋭いような感じ」(水谷さん)
400年もの間、途絶えることのなかった神事。水谷さんは、新型コロナウイルス禍の収束と、祭りの再会を強く願っています。
「すぐにでも収束してほしいですし、それを願いつつ神社で奉唱しようというところです」(多度大社・権禰宜 杉原さん)
中京テレビNEWS
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