世界遺産・厳島神社のある宮島(広島県廿日市市)に渡る約2キロのフェリー航路に「異変」が起きた。68年ぶりとなる新規参入の企業が現れた。コロナ禍前は年間400万人以上が利用し、鉄道会社系の2社が長らくしのぎを削ってきた全国有数の激戦航路に、飛び込んだ狙いは何か――。
高かったハードル、どう乗り越えた
広島駅からJR山陽線で30分、広島電鉄の路面電車で1時間。宮島口のターミナルは2社の乗り場が横に並んでいる。「JR西日本宮島フェリー」と、広島電鉄グループの「宮島松大汽船」。宮島に渡る足として計9割超のシェアを持つ。広島港(宇品)などから出る他社船を圧倒している。
背景にあるのは抜群の利便性だ。鉄道駅に近接するだけでなく、日中はおおむね2社交互に、最短5分間隔で出発する。所要10分程度で、運賃は180円だ。廿日市市の担当者は「まるで都会の電車。『待つことなく来た便に乗る』という感覚の区間で、運賃の安さも魅力」と話す。
こうしたなか、小型船運航会社「アクアネット広島」(広島市中区)が5月21日から同区間で約20分間隔で1日25往復の運航を始めた。国土交通省によると、宮島松大汽船の前身会社が参入した1954年以来のことだ。かつては運航本数が増えすぎないよう調整する区間とされていたが、2000年の法改正で「1日11往復以上」「旅客定員84人以上」など一定基準を満たせば新たな定期航路を開くことが可能となったという。
しかし、それから20年以上…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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