このごろSDGs(エスディージーズ)という言葉をよく見聞きするようになりました。気候変動や貧困、格差など地球規模の課題を解決するための世界共通の目標ですが、どこまで理解できているかでビジネスのチャンスにもリスクにもなりそうです。押さえておきたいポイントを2回にわけて紹介します。(編集委員・北郷美由紀)
「目標」は標語だけではない
SDGsはSustainable Development Goals(サステイナブル・デベロップメント・ゴールズ)の略で、「持続可能な開発目標」と訳されている。2015年、国連総会の首脳会合で全会一致で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」という文書に書き込まれている。
この文書は人間、地球、繁栄、平和、パートナーシップの柱のもと、30年までに経済・社会・環境が調和するように世界を変えると宣言。そのための具体的な行動計画として示されたのが、17分野の目標と169のターゲット(小目標)、231の指標で構成されるSDGsだった。土台には人権の尊重があり、「誰ひとり取り残さないことを誓う」と明記されている。
注意したいのは、色分けされてイラストと共に書き込まれている標語だけが目標ではないことだ。たとえば目標2「飢餓をゼロに」は、正式には「飢餓を終わらせ、食料安全保障および栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」。そこには小規模経営の農業、漁業、畜産者の所得向上や種子の保存といったターゲットも含まれる。
つまり具体的な目標や指標ま…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル