阿部峻介
京都府警に便乗し、裁判所の令状なしで大阪府警が住宅を捜索したのは違法だ――。銃刀法違反罪に問われた男(55)=同罪で受刑中=がそう訴え、大阪府に110万円の賠償を求めた訴訟の判決が18日、京都地裁であった。植田智彦裁判長は違法と認め、府に3万3千円の支払いを命じた。
判決によると、京都府警は2019年7月、恐喝未遂の疑い(不起訴)で令状を得て、大阪市内の男のマンションに入った。銃刀法違反(所持)の疑いで同じ男を追い、張り込んでいた大阪府警の捜査員はその場で京都府警と交渉し、令状を得ないまま室内へ。拳銃を確認し、のちに合同捜査にして事件化した。
判決は、大阪府警の捜索は法的根拠に基づかず「警察官としての注意義務に違反し、プライバシーを害した」と指摘。京都府警とは「別個の捜査機関」が令状なしで入ることは許されないとした。ただ、滞在時間は短く、住居の平穏が害された程度は比較的軽いと判断し、賠償額を算定した。
判決後、原告代理人の石側亮太弁護士(京都弁護士会)は「司法の審査を厳格に守るよう捜査機関に促した、当然だが意義のある判決だ」と話した。大阪府側は「判決内容を精査した上で、今後の対応を決めたい」とコメントした。(阿部峻介)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル