任意聴取中に弁護士面会させず、国に賠償命令 東京地裁

 任意聴取中の男性との面会を東京地検特捜部に妨害されたとして、男性の弁護士が国に賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(前沢達朗裁判長)は13日、国に10万円の賠償を命じた。面会できたのは男性の「自白調書」の作成後で、判決は「検事は弁護士との面会機会を奪い、弁護権を違法に侵害した」と認めた。

 原告の桜井光政弁護士によると、任意聴取で接見妨害が認められるのは異例。

 判決によると、桜井弁護士は昨年11月、男性から弁護依頼を受け、男性が任意の取り調べを受けていた地検を訪れた。事件を仕切る主任検事(50)に面会を求めたが、「取り調べ後に連絡する。依頼を受けた弁護士だと確認するのに時間がかかる」と言われた。男性と会えたのは2時間後で、この間に罪を認めるような供述調書が作成された。

 判決は、弁護士と会って弁護を受ける権利は逮捕された人だけでなく、任意聴取中の人にも当然あてはまると指摘。「捜査機関は弁護士に会うか本人に聞く義務がある」とした上で、主任検事の対応について「男性に聞けばすぐに確認できるのに、それをしなかったのは違法」と結論づけた。

 判決後に会見した桜井弁護士は「捜査の模範となるべき特捜部がこんなことをするのは許しがたい」と話した。地検の山元裕史・次席検事は「主張が一部認められなかったことは遺憾」とコメントした。

 男性は任意聴取の翌月に業務上横領の疑いで逮捕・起訴され、公判で無罪を主張している。この事件は、検察が司法取引をした3例目となっている。(阿部峻介)


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment