とにかくコシがない。
太くてやわらかい「伊勢うどん」に出会った時の衝撃が、いまも忘れられない。新聞記者1年目、三重県に赴任した21年前のことだ。近所のスーパーに行くと、ゆで麺とタレのセットがずらりと並んでいたのにも驚いた。
「三重の子どもの多くが、最初に自分で料理するのは伊勢うどんかもしれない」。東京・日本橋のアンテナショップ「三重テラス」で働く、同県志摩市出身の中嶋花奈さんの言葉にも納得がいく。麺をお湯で温め、タレをかけるだけの簡単料理。生活に根付いた郷土の味だという。
首都圏で2018年秋から伊勢うどんに特化したキッチンカーを出している早水久幸さん(57)は、「元祖ファストフード」と表現する。
イベントなどで「文(ふみ)…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル