特定危険指定暴力団「工藤会」トップとナンバー2に対する福岡地裁での公判は、四つの市民襲撃事件のうち最後の歯科医師刺傷事件の証人尋問が終わった。2人の指示を直接裏付ける証言はなかったが、うち1人が関係者に関与をほのめかしていたとの証言が出た。
殺人罪などに問われているのは、工藤会総裁の野村悟被告(73)と会長の田上不美夫被告(64)。
事件は2014年5月に北九州市小倉北区の駐車場で起きた。1998年2月に射殺された元漁協組合長の孫で、漁協幹部を父親に持つ歯科医師が足などを刃物で刺された。実行役の判決は、野村、田上両被告が犯行の意思決定に関与し、実行役らとの共謀を認定。工藤会が公共工事の業者選定などに影響力を持つ漁協に介入し、不正な利益を得ようとしたと結論づけた。
歯科医師刺傷事件の証人尋問は6月29日~7月14日に計6回。歯科医師の親族のほか、実行役や送迎役として事件に関わった元組員ら11人が証言した。
尋問に最も時間を割いたのが、親交があった田上被告から事件への関与を示唆する発言を聞いたという歯科医師の親族。尋問によると、田上被告は、歯科医師の父親が影響力を持つ港湾工事に工藤会側が参入できるよう、この親族に取りはからいを求めた。この際、別の親族で市漁協組合長だった上野忠義さん(当時70)が13年12月に殺害された事件に触れ、「忠義があんなになっとるのに、分かっとるんか」と話したという。
さらに「まだ気づかんのか。分…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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