伝えたい情報、整理できてる? 日本人こそ使いたい「やさしい日本語」のノウハウで伝え上手に(withnews)

今年も災害が多かった日本。日本で暮らす外国人も増えるなか、緊急時にどう情報を伝えるか関心が高まっています。でも、本当に「外国人のため」に新しいことをしないといけないのでしょうか? 今ある情報発信について、日本で暮らしている「となりの外国人」の本音を聞きました。(withnews編集部、松川希実)

突然ですが、「ナマズの看板」を見たことはありますか? 災害時に緊急車両が通行できるように、一般車の通行を禁止する「緊急交通路」を知らせるための看板です。

英語併記ですが、外国人にはどう見えているのでしょうか。

日本で漫画家として活躍するスウェーデン出身のオーサ・イェークストロムさんに聞いてみました。

「ん~、魚……ですよね。でも、何の魚かは分かりません」
「地震って書いてあるけど、この魚との関係は何ですか? 津波で海から打ち上げられたんでしょうか?」

そもそも、魚以上の話になりませんでした。

この看板は、実はやってしまいがちな、情報を伝わりにくくしている分かりやすい例だそうです。

目につく一番の情報は何か

「やさしい日本語」に詳しい庵功雄さん(一橋大学国際教育交流センター教授)は、こう説明します。

「最初に目に付くのは、絵。なのに、その絵が意味する情報がよく分からない。『ナマズ』が地震と関係があると分かるのは、日本の文化にかなり詳しい人です」

「字を読んでも『緊急交通路』となっていて、緊急時に『ここに来い』という意味なのか、『来てはいけない』という意味なのか、分からない。これは日本語でも英語でも、分かりにくいですね。その次にようやく『一般車両通行禁止』とあるのですが、車に乗って走りながらだと、なかなかここまで読める人はいない。

大切なのは、何のために出している情報か考え、伝わりやすくするために情報を整理することです」

「100年に1回の衝撃」

そもそも、緊急時の外国人はどんな気持ちなのでしょうか。オーサさんに災害の思い出を聞いてみました。

オーサさんは漫画家としての活動拠点を日本に移した2011年、来日した翌日に東日本大震災に直面していました。

母国スウェーデンでは、「地震は100年に1回ぐらい」と言うほど、「未知」の存在。

「入居したばかりのシェアハウスに買い物から戻った直後に揺れ始めました。『地震だ』とは分かりましたが、どんどん揺れが強くなって……。『地震のとき、外に行くのはダメ』って聞いたことはあったのに、本能的に家から飛び出してしまいました」

パニックの中で見たのはどんな情報だったのでしょうか。

「当時はまったく日本語が分かりませんでした。だからテレビニュースを見て、映像だけで内容を想像しました。ネットでスウェーデンや英語のニュースを読みました。でも日本から離れて報道されているのが正しい情報かどうか分からない。『日本はこれで終わりだ』と書かれていて、それだけでパニックになりました」


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Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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