ヒグマに襲われたハンターが、ヒグマにかみつき反撃――。そんな事故が今年4月、北海道東部・知床半島の付け根付近で起きていた。ヒグマは鋭い牙や大きな爪で、ハンターの顔や腕などを切り裂いたが、ハンターはヒグマの鼻先にかみついたり、首を絞めたりしてクマをひるませ、九死に一生を得ていた。彼は地元で「伝説のハンター」と呼ばれる男だった。
事故は、4月16日午後0時45分ごろ、斜里町の山林内で発生。銃でヒグマを捕獲するハンターを育てる訓練の下見中のことだった。この訓練は、人里に現れるヒグマ対策などのために行われており、この時の下見は、指導者である地元猟友会の坂本幸一さん(74)が1人で行っていた。
坂本さんや町によると、ヒグマの足跡を雪上に見つけた坂本さんは、スキーを履いて追跡を開始。林に入ってすぐヒグマに遭遇したという。その距離わずか約20メートル。捕獲する予定はなかったが、ヒグマが坂本さんへ突進を始めたため、危険を感じた坂本さんは発砲し、ヒグマを倒した。
絶命はしていなかった。しかし、坂本さんは「ここまでは来ない」と判断。次の弾を装塡(そうてん)せずにいたところ、ヒグマは倒れたり起きたりを繰り返し、10メートルほどまで迫ってきた。坂本さんはさらなる接近に備えて、スキーを外そうとかがみ込んだ。その時、ヒグマが襲いかかってきた。
銃に弾を装塡しようとしたが、…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル